シャ−
ロック・ホ-ムズ 「
ロンドンの
サムライ事件」 第四回
---ホ-ムズの若かりし日--
その酒場はロンドンでも人気のあるところで、酒を飲む多数の人々で、ごった返していた。
その日のホ-ムズは、酒場のはしのカウンタ−で、酔漢の相手をしていた。
一人のうらぶれた、中年の酔漢がいた。
男の服は、十分に汚くてボロボロで、おそらくここ何日も
風呂もはいっていないと思われる、もっとも酔漢はそんなことに、かまってはいなかった。
彼は、とろんとした瞼(
まぶた)に据わった眼をしてホ-ムズに話かけた。
男は、
ギャンブルで金をなくして、返すあてもないのに
借金をして、さらにギャンブルで文無しになった境涯をホ-ムズに語った。
「お若いの、わかるかね、人間、落ちぶれれば、いくらでも落ちぶれることができる、、「毒を喰(くら)わば皿(さら)まで」ってねはは、、
もちろん今飲んでるこの酒代も借金の金、、へへっ勿論、返す気もあてもなけりゃ、家にも帰れないからして〜
あしたの寝場所も、どうなるか、そんなぁことは、しっちゃいない、、うぃぃっ
わかるかい、お若いの、、わたしゃこの酒の中に哀しみを、、もとめておるんじゃ、、お若いの人間てなぁ、長く
生きると、、ついつい愚痴りたくヒック、、」
ホ-ムズは、酔漢の酒臭いのを我慢して、彼とつきあっていた、、彼は、酒場での酔漢を軽蔑するというより人間の哀歌をそこにみた、、。
そして、こんな理由(わけ)のわからない酔漢の言葉を聞きとり、また、ある時は酒場の雑多な喜怒哀楽を観察し、人間を洞察しようとする、
ホームズだった。
この酒場での人間観察によって若かりし時のヤング・シャ-ロック・ホ-ムズに、いつしか人間の深奥を感知する能力がついていった。
この人間の深奥を感知する能力で、
ホームズの夢-「犯罪学」-という体系だった(犯罪
メカニズム学)を、うち立てることはできなかったが、後にホ-ムズが名探偵になるのに役に立ったのはいうまでもない。
そんな、ホームズが、ある日、酒場のカウンタ−で一人ワインを飲みながら、姿勢よく凛とした雰囲気の男とであった。
歳は、その落ち着いた感じから四十歳はこえているのではないか、、。
この男が日本のサムライで後にホ-ムズの恩師となり武道「ジュウドウ」を教えてくれるロウ・カノウだった。
最初にみたときにホ-ムズは、その男が東洋人であり、日本のサムライだとすぐに察知した。
実は、この6年前に日本のサムライ達が「岩倉施設団1872年」としてロンドンにやって来ていた。
それは、大きなニュ−スとなりロンドン市民の話題となった。
その時にホ-ムズは、興味をもち日本のサムライについて、かなり調べていた。
カウンタ−で、ワインを飲む男は、黒い髪、で日本の和服の「紋付羽織袴(もんつきはおりはかま)」を着ていた。
ホ-ムズには、その姿、やその凛とした姿勢からサムライだと判断した。
ホームズは、この凛としたサムライに興味を覚えた。
もちろんロウ・カノウはホームズの視線にすぐに気がつき軽く頭をさげて一礼した。
ホ-ムズも一礼した。
つづく
posted by アクションQ at 22:11|
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